ウォロな世界

言えない嘆きに寄り添う
 仙台傾聴の会 渡辺雅子さん(70歳)

話をありのままに受け止め共感しながら聴くことを”傾聴”と言います。親身になって聴いてもらうことで心が軽くなり、気持ちが整理され、悩みの半分は解決するともいわれます。それほどに、話す相手がいることは大事なのです。
話したくても話せない、話す機会のない人々が増えています。―人暮らしの高齢者、引きこもりがちな若者、子育てで孤軍奮闘するお母さんやお父さんです。
NPO法人仙台傾聴の会(名取市)は、こういった人たちに寄り添い、言いたくても声えない嘆きや不安、身近な人に言いにくい悩みなどを聴く活動に取り組んでいます。メンバーの一人が仙台市在住の渡辺雅子さん(70)です。
傾聴のすごさをテレビで知ったのかきっかけ。寝たきりで硬い表情の男性が、傾聴を重ねることで笑顔を見せるようになったことに感銘を受けたのです。自分にできることを求めていた渡辺さんは「ぜひ傾聴活動をやってみたい」と情報を探し、仙台傾聴の会を知って、参加するようになりました。
高齢者福祉施設や個人宅を訪問。東日本大震災で被災した方にも寄り添っています。
「戦争体験や震災のことなど、重い内容を聴くこともある」と渡辺さん。「自分が体験していないことを聴くことは勉強になり、人生の幅が広かる」とも言います。
「少しでも和やかな気持ちになってほしい」と願いながら、傾聴の基本である笑頭やうなずきを大切に、時には相手の手に手を重ねて耳を傾けています。
活動を始めて10年。傾聘の奥深さに魅了され、一度も辞めたいと思ったことほありません。「将来へ受け継いでいきたい」と願い、仲間たちと共に活動に取り組んでいます。
(認定NPO法人杜の伝言板ゆるる 堀川晴代)

テーマ特集 ボランティア

先輩たちから教訓学ぶ
 大友千鶴子68歳(名取市・主婦)

2014年にNPO法人「仙台傾聴の会」の会員になり、5年たちます。11年3月の東日本大震災の津波で被災し、多くのボランティアの方々の支援をいただきました。私のできることで何か恩返しをしたいと思ったのかきっかけです。
仙台傾聴の会の傾聴ボランティア養成講座を受けて修了証を頂き、私のボランティア活動が始まりました。高齢者施設での傾聴から始まり、仮設仕宅、集団移転地での傾聴などと続いています。
活動を通じて多くのことを学びました。施設では人生の先輩方から人生の教訓のような貴重なお話を聞ききました。
傾聴カフェでは、被災当時からのいろいろな思いを抱えながらも前同きに暮らしている姿に心を打たれました。毎回楽しみにして足を運んでくださることがとてもうれしく、活動の励みになっています。
まだまだ未熟ですが、丁寧に相手に寄り添う傾聴ができるよう、学びと謙虚な姿勢を忘れず活動に励み、私自身も成長していきたいと思います。